IT系の資格としてはもっとも有名な資格である情報処理技術者試験。
この資格は経済産業省が認定する国家資格であり、したがって取得していると就活で有利になったり手当がもらえたりすることがあります。
情報処理技術者試験は以下のように4つのレベルに分けられています。
レベル1: ITパスポート
レベル2: 基本情報技術者試験, 情報セキュリティマネジメント試験
レベル3: 応用情報技術者試験
レベル4: 高度情報技術者試験
今回はこの中のレベル2と3に該当する『基本情報技術者試験』と『応用情報技術者試験』についての話をしていきます。
実はこの試験は、上位レベルの資格を取得するために下位レベルの資格を取得いる必要はありません。
つまり、基本情報を取らずとも応用情報を取得することが可能だと言うわけです。
ということで、どっちの資格の方が重要で役に立つのか?、どういう環境に身を置いているかによってオススメの情報処理技術者試験の受け方を説明していきます。
基本情報と応用情報はどっちの方が良いの?
そもそも、情報処理技術者試験を受ける際に考えたいこととして、基本情報と応用情報のどっちが重要な資格だと言えるのでしょうか?
結果から言うと、応用情報技術者試験です。
基本情報技術者試験は名前の通り本当に基本的な知識しか学習することができないため、持っているからと言ってエンジニアとしての価値はあまり上がることはありません。
また応用情報を持っていることで会社から月数千円の資格手当ができることはあっても、基本情報で資格手当がもらえる会社と言うのはごくわずかです。
ということで、全くIT知識がゼロの人や、エンジニアとして働いている人にとっては応用情報よりも取得しやすく、情報処理技術者試験のベースとなる基本情報をオススメしますが、
そうでない人にとっては基本情報より応用情報の方が資格としては重要だといえます。
未経験でIT業界のエンジニアを目指している・働いている
文系大学などを卒業したあとに未経験のエンジニアとしてIT企業に就職したい、もしくは働いている方は、最初に基本情報技術者試験を取得することをオススメします。
未経験の場合、多少パソコンには慣れていたとしてもITに関する知識はほとんど無いからです。
応用情報技術者試験は午後試験が完全な記述試験となっていて思考力や体系的に知識を備えておく必要があるので、
それなりにIT系での経験を積んでいなければ勉強が難しく感じるでしょう。
一方で基本情報に関しては全ての問題が選択式なので、全くITの知識が無い人でも、少しずつ参考書を読んで知識を付けていくことで合格できるだけの点数をとることができます。
したがって、まずは最初に基本情報を取得して、ある程度の時間をかけて応用情報にチャレンジすることをオススメします。
長期インターン経験やエンジニアとしての勤務歴がそれなりにある場合
学部時代に長期インターンとしてずっとIT企業でプログラミングをしていた方や、エンジニアとして数年程度の実務経験がある方は、
すでにIT分野の知識を持っているので応用情報を受けることをオススメします。
というのも、基本情報や応用情報で出題される選択式の問題は、すでにITの経験がある人にとっては常識問題ばかりだからです。
例えば応用情報技術者平成21年春期 午前問46で出題された以下の問題を見てみましょう。
図において,”営業状況を報告してください”という同じ指示(メッセージ)に対して,営業課長と営業部員は異なる報告(サービス)を行っている。オブジェクト指向において,このような特性を表す用語はどれか。
ア:カプセル化
イ:継承
ウ:多相性
エ:抽象化
https://www.ap-siken.comより引用
この問題の正解はウの『多相性』です。
数年プログラミングをしたことのある方なら、余裕で分かる問題なのではないでしょうか?
基本情報や応用情報の選択問題ではこのような問題はたくさん出題されます。
つまり、それなりの経験がある人なら応用情報の勉強範囲の多くを最初からカバーできていることになるので、基本情報を受けずに最初から応用情報を取ることをオススメします。
大学・大学院で情報工学を専攻している学生
大学や大学院で情報工学を専攻している学生の人たちは、当然ちゃんと大学の勉強をしていることを前提ですが、基本情報レベルの試験は余裕で合格できてしまいます。
選択式の問題の技術系の問題には大学や大学院で勉強した基礎知識だけですぐに対応できますし、
応用情報の午後試験(記述式)でも情報工学系の学科で行われる期末テストなどに比べれば全然簡単なものが多いです。
学生にとっては数千円の受験料を二度も払うのはもったい無いことですし、2回も受験勉強をするのは時間の無駄ですよね。
というわけで最初から応用情報を受けるようにしましょう。
ちゃんと勉強している情報工学系の学科の学生なら、1~3ヶ月勉強すれば確実に合格できると言っても過言ではありません!