個人で稼ぐ方法として、せどりや投資に並んで人気の稼ぎ方に「ブログやネットメディアの運営」があります。初期投資を必要としないうえに、一度を記事を書いてしまえば継続的な収入が見込めるというメリットがあります。
とはいっても、記事を1つ書くだけでも数時間というレベルである程度の時間がかかります。ブログやメディアといった情報発信の世界においても当然ながら需要と供給があるので、適当に思いつきで記事を書けば稼げるというわけでもありません。
そんなわけで今回は、ブログやメディア運営がどれくらい効率よく稼げるものなのかをシミュレーションを通して考えていきます。
ブログ・メディアの収益構造
まずはブログ・メディアの収益構造を考えてみましょう。作った記事を公開することでどうやってお金を稼ぐかについては、個人で運営することを前提とすると、ざっくり以下のような方法があると考えられます。
1. Googleアドセンスなどの広告を載せる(クリック報酬型)
2. サイトに掲載した商品を購入してもらう(アフィリエイト広告型)
3. 自分の商品を売る(例: Noteに誘導する)
稼ぎ方としてはその他にも、広告を載せたい法人と直接契約を結ぶような純広告なども考えられますが、あくまでも個人でサイドビジネス的に運営することを想定したいので一旦省きます。
さらに、ブログ・メディア運営の売上を分解すると以下のような計算式になります。
赤字で表された部分は、この数字をあげることでブログ・メディア運営の時給が上がることを意味します。
時給を上げるためには当然のことながら「1記事あたり売上」を増やすことになります。さらに「1記事あたり売上」は「1記事あたりPV数」と「PV単価」に分解されるので、このどちらかを上げれば良いということになります。
時給をシミュレーションしてみる
個別の施策や運営方針を考えていきたいところですが、ここで「1記事あたり売上」の数字を変えてみて時給がどれだけになるのかシミュレーションしてみましょう。
1記事の作成にかかった時間を1.5時間・3時間・5時間の3パターンを用意して、時給を計算した表が以下のようになります。
ブログ・メディア運営を稼ぐためにやるとするなら、最低でも時給1500円くらいはないとモチベが保てず継続的に更新できないでしょう。したがって目指すべきは表の赤字の部分です。
というわけで、このシミュレーション結果から以下の結論が得られます。
1.5時間で記事を作る場合、1記事あたり売上は最低でも3,000円はほしい
3時間で記事を作る場合、1記事あたり売上は最低でも5,000円はほしい
5時間で記事を作る場合、1記事あたり売上は最低でも7,500円はほしい
ブログ・メディア運営で現実的に稼ぐためには、このことを意識する必要があります。
よく考えてみればごく当たり前のことですが、このことを意識できないまま、やみくもに記事を作り続けて多くの時間を無駄にしてしまう人は少なからずいることでしょう。
「時給」を上げるためには
以上のことを踏まえて、ここからは個人がブログ・メディア運営で稼ぐために、現実的に実行できることを考えていきます。
時給は「1記事あたり売上」÷「作成時間」で計算できるので、「1記事あたり売上」を増やすアプローチと「作成時間」を減らすアプローチの2パターンで見ていきます。
「1記事あたり売上」を増やす
先ほどブログ・メディア運営の売上を分解したように、「1記事あたりの売上」は「1記事あたりPV数 × PV単価」に分解することができます。したがって分解した後の2つの要素について、それぞれを上げる方法を考察します。
1記事あたりPV数を上げる
・長期的な需要のある内容にする
これは1記事あたりのPV数を増やす方法として一番効果のあるものだと言えます。数年経っても内容が薄れない記事を作ることができれば、記事を公開したあとは時間が経てば経つほどPV数が積み上がっていくからです。
1ヶ月で500閲覧しかされない記事でも、1年経てば6000閲覧、3年経てば18000閲覧、5年経てば30000閲覧になります。PV単価を仮に0.2円だとすると、これだけで6000円の収益になりますね。時間を味方にするとはまさにこのことです。
ただし長期的な需要のある内容にするためには、途中で記事をリライトしたり、1,2年で飽きられないような話題を選ぶ必要があります。
・競合が少ない分野にする
サイトへの流入を主にGoogleやYahoo!といった検索エンジンから獲得するとすれば、検索結果の順位を高くすることが重要です。いわゆるSEO対策と呼ばれるやつですね。
とはいっても、例えばクレジットカード、仮想通貨、光回線、脱毛といった競争が激しいジャンルでは、法人も多くレベルがあまりにも違うため、個人の方は戦うべきではありません。
自分が本業で行っている経験を生かして高い専門性のある記事を作ったり、長年続けていて誰にも負けない自信がある趣味に関係する記事を作ったりするのが良いかもしれません。
・サイトのコンセプトと関連性のあるものにする
次にPV数を上げる方法として、サイトのコンセプト(ジャンル)と関連性のある記事をたくさん作るという方法が挙げられます。作る記事数が同じにも関わらず、1記事あたりPV数が上がるのは、訪問者がより長くサイトに止まってくれるからです。
数式を使って説明すると、「1記事あたりPV数 = (訪問者数 × 1訪問者あたりPV数) ÷ 記事数」の「1訪問者あたりPV数」を上げるための施策ということです。
例えば、クレジットカードの作り方に関する記事を読んでいる訪問者がいたとします。この人はクレジットカードに興味・関心を持っている確率が非常に高いので、記事内に「還元率の高いカードランキング」のような記事をリンクしておけば、高い可能性で読んでもらうことができるでしょう。
PV単価を上げる
・稼げる業界やジャンルを選ぶ
広告収入で稼ぐ場合は、基本的には広告を見る人の職業や収入といった、属性によって報酬額が大きく変わります。したがってPV単価を上げるために、まずやらなければいけないことは、稼げる業界やジャンルを選ぶことです。
例えば、ホワイトワーカーの転職案件やある程度の年齢層が見るような広告にマッチした記事を作ることができれば、PV単価も自ずと上がっていくでしょう。
・アフィリエイト、自分の商品を増やす
もう一つの方法として、広告の形態を変える、あるいはミックスすることでPV単価を上げる方法があります。一般的にはクリック報酬型広告よりもアフィリエイト広告型の方が単価が高く、アフィリエイト広告型よりも自分の商品を売る方が単価は上がる傾向にあります。
自分の商品を売るには経験やテクニックが必要になってきますが、中間業者(広告代理店)に取られるマージンがなくなるため、PV単価を最大限にするためには将来的に視野に入れるといいでしょう。
「作成時間」を減らす
・まとめて作成、無駄な作業を省く
記事作成には「タイトル選定」「情報収集」「記事執筆」「素材集め、記事の装飾」といくつかの工程があります。記事を1つずつ作っていくよりも、各工程をまとめて行い、無駄な作業を省くことで記事の作成時間が圧倒的に早くなります。
特に個人運営で作るような記事は、すぐに公開しないと競合に先を越されるといった状況にはなかなかならないと思います。記事の公開には時間がかかっても、できるだけ各工程ごとでまとめて作成するべきでしょう。
・外注する
最後に記事を外注する方法があります。運営がある程度安定してきて、1記事あたりの売上も2000円を超えるようになってくれば、ライターさんに作業の一部を手伝ってもらうのもアリかもしれません。
ただし、今回はもともと個人運営で稼ぐことを前提としているので、記事作成に当たって専門的な知識が必要な場合は、外注単価が上がってしまう可能性もあります。外注は難易度が高いので、参考程度にしておくといいかもしれません。
時給を上げられない場合、別の目的を設定する
ここまでは時給を上げることで、どうやってブログ・メディア運営を稼げる仕事にするにするか議論してきました。
それでも運営する分野やジャンルによっては、ニッチすぎたり先進的すぎたり、あるいはそもそも収益化が難しいために、十分に稼ぐことが難しい場合があります。
そのような場合には、他の稼ぎ方のトライしてもいいのですが「別の目的で運営することはできないか」を検討してみるのも良いでしょう。
例えばお金を稼ぐ以外の目的として、以下のようなものが考えられそうです。
1. 自分のブランディング(名刺代わりになる)
2. インターネット上での人脈構築(新しい人と出会える)
3. リサーチや記事執筆を通しての学習
このように目的を別のものに設定することで、ブログ・メディア運営からはお金が稼げなくても、将来的に何か良い結果が得られるかもしれません。
少なくともお金を稼ぐことだけを目的にしてしまい、疲弊しながら情報発信するよりも、質のいいアウトプット(=記事)を出していけそうですよね。